全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)は、来年1月5日に東京体育館で幕を開ける。今日15日から「春高で輝く」と題し、東北6県の男女代表校を紹介。第1回は秋田代表です。男子で26年連続26度目出場の雄物川は、元日本代表セッターでOBの宇佐美大輔監督(41)が率いる。13年4月の現役引退と同時に大館鳳鳴で教員人生をスタートさせ、14年4月に父義和さんの後継監督として母校に復帰。自身が高校1年時に親子鷹で初出場して以来、秋田の盟主に君臨し続けている。現役時代に“超高速ハイパーセッター”と称された指揮官らしく変幻自在のバレーで上位に進出する。

宇佐美監督が大胆改革を実行した。雄物川はコロナ禍で「なかなかチームがまとまらないというか、うまく回らないケースがあった」。そんな負の状況を打破すべく「バレーのスタイルもエースで勝負するものからテンポの速いバレーに切り替え、形になってきたと思う」。10月の県予選決勝で結果につなげてみせた。

速いテンポのバレーには主将のセッター赤川育也(3年)の活躍が不可欠。指揮官は「セッターの負担が大きくなるが、作る時間は十分にあった」。全国高校総体中止、練習試合数も限られ、実戦は少なかったが、週7日、バレー漬けの日々を送り、完成度を高めてきた。

期待の司令塔に英才教育を施す。「彼は楽に考えてしまい『決まるだろう』でトスを上げるとか、自分もセッターだったので厳しく追求してきたし『セッターは楽しちゃいけない』と常々言ってます」。課題は明確で「セット(トス)する手の位置がぶれるときがあり、アタッカーからするとすごく打ちづらい。アタッカーはセッターの手を見て入る。それがぶれるとテンポもずれるので『絶対にやらないように』と伝えてます」と助言を惜しまない。

赤川は手の力に頼ってトスを上げる癖があったが、宇佐美監督からは体幹、下半身を使う重要性を特に学んだ。「高いレベルでバレーをさせていただき感謝しかないです。世界相手に戦ってきたすごい方で、セッターだけどブロックもバシバシ止めてトスも完璧。よくYouTubeで現役時代のプレーを見ています」。来年1月6日に開智(和歌山)と福井工大福井の勝者と初戦(2回戦)を戦う。ここ10年間は14年に4強、19年に8強入り。上位進出へニュースタイルの古豪が真価を発揮する。【山田愛斗】