
中国語で「直播」とは、ライブ配信(生放送)を意味します。中国ではライブ配信人気が高まっており、中国EC業界もこの生配信を活用したライブコマース戦略を積極的に打ち出しています。
中国では年始からの新型コロナウイルス流行を受け、かなり多くの人が、長期間自宅で過ごさざるを得なかったり現在も似たような環境にあったりすることが伝えられています。こうした環境下で、手軽に楽しめる娯楽として、ECやSNS、またそれらのプラットフォームでのライブ配信に対する注目は高まったと考えられます。
この記事では、中国のライブ配信の特徴や、人気の配信サイト、中国からのインバウンド誘致にライブ配信を取り入れた日本の事例を紹介します。
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いま中国で人気のライブ配信
今、中国ではライブ配信が一大ブームです。YouTubeやTwitterに閲覧規制がかかる中、中国企業が独自のライブ配信プラットフォームを生みだしており、その市場規模を拡大しています。
生配信の需要が高まる
「直播」とは、「ジーボー」(zhíbō)と読み、「生配信」を意味します。日本でいう、YouTube のライブ配信や、ニコニコ生放送での生配信、ツイキャスを指します。
また、配信者を「主播」(zhǔbō)と呼びます。
2020年には1.6兆円の市場規模が期待されている
中国では、ライブ配信市場が急速に拡大しています。ライブ配信がブレイクしたのは2015年でした。
当初は「YY直播」という2012年に配信を開始したウェブサイトでのゲームの実況が主でしたが、その人気が熱を帯びるにつれ、様々なジャンルの配信が始まりました。
中国のウェブ業界はブレイクが始まると早々に多くの企業がその事業に参入します。ライブ配信事業も例外ではなく、多くの企業が参入した激しい競争の中で、市場は拡大していきましたした。2020年にはライブ配信の市場規模は1.6兆円、視聴者5億人の大規模市になると言われています。
電子決済が普及している中国では、「投げ銭」という形で好きな動画投稿者にお金をプレゼントするシステムが一般的です。
そのため、経済的にも余裕がありトレンドにも敏感な30代前後が、ライブ配信視聴者の81.2%を占めています。
配信者は女性、視聴者は男性が多い
中国のインターネット上でのライブ配信者は女性が圧倒的に多いですが、視聴者は男性が多いです。
「2019年第1四半期中国モバイルライブ動画配信市場研究報告」によると、生配信サイトのユーザーのうち、61.2%は男性が占めております。
先ほど説明した通り、好きな動画投稿者に対して視聴者は「投げ銭」という形でお金をあげる行為が中国では普及しており、ファンを増やすために過激な露出をする投稿者が、一時社会問題にもなりました。
わいせつ容疑での逮捕者も出る中、当局も取り締まりを強化し、不正なアカウントの削除を行った結果、現在では動画生配信サイトは健全性を取り戻しつつあります。
中国で人気のライブ動画配信サイト
中国には多数の生配信サイトが存在しています。その中で、代表的なサイトを3つ紹介します。
YY直播(ワイワイ・ジーボー)
2012年に開設され、2015年から始まる生配信ブームの火付け訳となった配信サイトです。YY直播のユーザー数は10億人に登るともいわれており、その規模は中国最大級です。
中国の若く可愛い女性が、歌や踊りをライブ配信する「美女直播間」に人気が集まっています。
一直播(イージーボ)
2016年にサービス開始しています。一般人だけでなく、多くの有名人が使用したことでサイトの知名度が高まりました。
2018年には、日本の近鉄百貨店のバレンタインチョコレート売り場を中国人女性が一直播を通じて紹介し、11万人を超える視聴者を集めました。
映客直播(インケジーボー)
2015年に配信を開始しています。一般人でも、自分をコンテンツとしてライブ配信を行う「全民直播」という概念を生み出す先駆けとなりました。
動画の配信内容が厳しく監視されており、比較的クリーンな動画の配信が行われています。
ライブ配信のビジネス化 : ライブコマースの事例
ライブ配信人気に伴い、個人だけでなく企業も、ライブ配信を活用した商品のPRを行う企業も増えてきています。ライブ配信とECが融合したライブコマースの事例を紹介します。
ライブコマースとは
ライブコマースとは、LIVE配信型Eコマースのことで、ライブ配信にて紹介された商品をそのままECサイトにて購入できるサービスです。 その市場規模も大きく、大手ECサイトの「淘宝(タオバオ)」が運営する「淘宝直播(タオバオライブ)」の2018年売上は、前年比400%プラスの約1兆5000億円越を記録しています。
タオバオのライブコマースは、経験豊富な店舗実演者によるものと、インフルエンサーによるものがあります。
中国では、企業の宣伝を信用しない人も多く、インフルエンサーからの紹介が購入意思決定に大きな影響を与えます。
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春節のライブコマース
2018年、コスメ専門の中国インフルエンサーであるセーラームーンさんが、日本のミキモトコスメティックスの商品を約3時間ライブ配信で紹介しました。このライブ配信の最高視聴者数は20万7767人にも上りました。
セーラームーンさんらインフルエンサーは、自分が納得する商品しかライブ配信で紹介しないため、視聴者からの信用を集めています。この配信では、セーラームーンさんが実際に使ってみる姿を配信することで視聴者の購買意欲を高め、売り上げ約150万円を記録しました。
近鉄百貨店でのライブ配信
近鉄百貨店では2017年から中国へのライブ配信を開始し、2018年にはライブ配信回数を増やしました。
インフルエンサーである中国人女性を招き、一直播を通じてバレンタインチョコレートの売り場を紹介することで、11万人超もの視聴者を集めました。
「可愛い」、「自分も見に行きたい」などのコメントが寄せられるなど、中国人女性の関心を引くことに成功した事例です。
中国で人気のライブ配信をビジネスにつなげよう
中国で人気のライブ配信について紹介しました。中国のライブ配信は独自の発展を遂げており、購買における意思決定にも大きな影響を与えます。中国人のインバウンド誘致の取り組みでは今後、ライブ配信を活用することがさらに重要となるかもしれません。
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March 10, 2020 at 10:34AM
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