国内出荷量は高い水準も店舗休業の影響出始める
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための外出自粛を背景に調理家電の販売が堅調に推移している。在宅勤務や自宅で時間を過ごす“巣ごもり”で料理をする機会が増えている中で、近年の高付加価値製品の人気も手伝う。ただ、コロナ禍による家電量販店の臨時休業や、景気悪化による個人消費の落ち込みの影響も出始めた。 パナソニック、“家まるごと提供”はなぜ挫折した? パナソニックによると、ホームベーカリーやハンドブレンダー、ホットプレートなどの販売が右肩上がり。中でも電気圧力鍋は、2―3月の発売が計画の約6倍、前月比では約1・5倍で推移しているという。 電気圧力鍋は具材を入れてボタンを押すだけで本格的な調理ができ、新型コロナ感染症の拡大以前から人気だった。在宅勤務や一斉休校の影響で、手早く料理を作る需要がさらに高まった。 シャープの自動調理鍋「ホットクック」も1―3月は前年同期比2・5倍に急伸長。4月の販売数は第4週が経過した時点で同3倍に達した。ほったらかし調理に加えて「火を使わないため子どもも扱いやすい点も人気」(同社)だという。 調理家電の国内出荷量は、新型コロナ感染症の拡大以前から比較的高い水準で推移してきた。単身世帯向けのシンプルな製品の需要もある一方で、おいしい食事を少ない労力で作れる製品は、多少値が張っても引き合いは強い。今回の巣ごもり需要でも、家事の負担軽減や料理の楽しみを存分に引き出す製品への注目は引き続き高そうだ。 一方で、個人消費の落ち込みや家電量販店の臨時休業といったコロナ禍の影響も出始めている。東芝ライフスタイルは「高機能オーブンレンジを使った料理の写真が会員制交流サイト(SNS)に多く投稿されるようになった」とする一方で、「新型コロナ感染症の影響で(同社の)調理家電全体の販売数は減少傾向にある」と語る。 調査会社のGfKジャパン(東京都中野区)によると、家電量販店や総合量販店における3月の家電製品の販売額は、通信販売が前年同月比18%増加したが、店頭販売は同13%減少した。家電製品は店頭で製品を見て購入を判断する消費者も多く、電子商取引(EC)が完全に補完できるとは限らない。経済の先行きが見通せない中で、購入や買い替えがすぐに必要な製品か否か、消費者が今まで以上に吟味することも考えられる。
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May 20, 2020 at 02:42PM
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