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特別展「出雲と大和」に見る、古代日本の姿とは? - 読売新聞

 今年は、古代の公式な歴史書れきししょである日本書紀にほんしょき完成かんせいした養老ようろう4年(720年)から1300年。節目ふしめの年を記念し、書紀とゆかりの深い出雲いずも(島根県)と大和やまと(奈良県)をテーマにした東京国立博物館はくぶつかん(東京・上野)の「日本書紀成立せいりつ1300年 特別展とくべつてん 出雲と大和」に足を運び、古代日本の姿を実感してきました。

 特別展では、弥生やよい~江戸時代を中心とする全174件の展示物があり、国宝23件、重要じゅうよう文化財75件と、貴重きちょう品々しなじながそろっています。島根県(出雲)と奈良県(大和)がタッグを組んだ気合が伝わる展示会。同館研究員の河野正訓かわのまさのりさん(38)に案内あんないしてもらいました。

 なぜ、「出雲と大和」なのでしょうか。日本書紀の冒頭ぼうとうの「国譲くにゆずり神話」に、出雲いずも大社おおやしろのオオクニヌシが、神々かみがみの世界である「ゆう」をつかさどり、大和にいる天皇てんのうが、現実げんじつ社会の「けん」をべたことが語られています。出雲と大和は、古代日本の祭祀さいしと政治を象徴しょうちょうする地だったと言えます。

 「神々の世界」とされてきた出雲が、神話だけの存在そんざいではないことが、今回の展示品からわかります。

 中でも重要な資料が、弥生時代の荒神谷遺跡こうじんだにいせき(島根県)の銅剣どうけんと、加茂岩倉かもいわくら遺跡(同)の銅鐸どうたくです。

 かつては、北九州が「銅剣・銅矛どうほこ」の文化けん近畿きんきが「銅鐸」の文化圏とする説が有力でした。それが、1980年代以降に、島根で銅剣と銅矛、銅鐸が大量に見つかり、大きなニュースになりました。出雲が重要な祭祀の地だったことが考古学的にも証明されたのです。

 大和関連でも、貴重な資料が目白押しです。河野さんが「必見の資料です」と強調したのが、奈良県の石上いそのかみ神宮に所蔵されている国宝の七支刀しちしとうえだ分かれしたような形をしたこの刀は、百済くだら朝鮮ちょうせん)の王が当時の(日本)の王におくったものが、現在までつたわってきたそうです。後世まで大切に受けがれてきたこと自体、とても価値かちがあると思いました。

 メスリ山古墳こふん(奈良県)で出土した世界最大の円筒えんとう埴輪はにわ(高さ242センチ、底部直径ていぶちょっけい90センチ、口縁こうえん直径131センチ)の大きさにもおどろかされます。筒のあつさはおおむね1・6~1・8センチだそうで、はるか昔にこれだけの物を作る技術があったことにロマンを感じました。

 教科書にも登場する三角縁神獣鏡さんかくぶちしんじゅうきょうなどの銅鏡どうきょう興味深きょうみぶかいものです。

 神原かんばら神社古墳(島根県)出土品の三角縁神獣鏡には、邪馬台国やまたいこくの女王・卑弥呼ひみこ(中国)に使いを送ったとされる景初けいしょ3年(239年)の年号が見えます。なぞの多い邪馬台国や卑弥呼に関する資料の実物を、細かい部分までじっくり見られるのは、またとない機会きかいだと思いました。

 古墳から出土した数としては全国で一番多い、黒塚くろづか古墳(奈良県)から見つかった33面の三角縁神獣鏡も全て展示されています。銅鏡は、はかおさめられている枚数まいすう埋葬まいそうされた人の地位がわかるとされ、権力者けんりょくしゃだったことがうかがえます。教科書にも登場する品々を間近に見て、歴史が身近になった気がしました。河野さんは、「展示で古代の日本に興味きょうみを持ったら、島根県や奈良県にも足を運んでみてほしい」と話していました。

 会場には、高さ48メートルと推定すいていされる平安時代の出雲大社の10分の1スケールの模型もけいも展示されています。模型製作には島根県立松江工業高校の学生がたずさわったそう。ジュニア記者の同世代が、地元の歴史を伝える重要な役割やくわりを果たしていることにも刺激しげきを受けました。

 今回の取材で、古代日本の歴史ロマンにれることができました。多くの人が展示を見て、歴史に親しみを感じてくれるといいと思いました。同展は、3月8日まで開かれています。

 (高2・山口万由子やまぐちまゆこ、中2・大森陸おおもりりく、小6・中野和貴なかのかずき記者、撮影さつえい関口寛人せきぐちひろと

 4月から活動する第37期「ジュニア記者」を募集しています。取材に必要な交通費などは支給されます。

 【募集人員】新小学5、6年、新中学1、2、3年、新高校1年、若干名。

 【応募資格】東京都、茨城、埼玉、千葉、神奈川県内に住んでいて、東京・大手町の読売新聞東京本社に1時間半以内で通える人。

 【応募方法】400字詰め原稿用紙の1枚目に〈1〉「私の家族」をテーマにした手書きの作文(400字以内)、2枚目に〈2〉志望動機(200字程度)〈3〉活動できる曜日〈4〉自宅の住所(郵便番号も)、電話番号、メールアドレス、氏名(ふりがなも)、生年月日、学校名、新学年を書いて、〒100・8055読売新聞東京本社文化部ジュニアプレス「記者募集」係(03・3217・8245)へ郵送する。

 【締め切り】2月28日(必着)。作文審査、面接(3月15日)を経て決定します。

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February 24, 2020 at 03:20AM
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