高峰博士米国で飾った逸品高岡壁画や家具調度品など展示 - 中日新聞

金箔の風神雷神図や天井画が展示されている会場＝高岡市の御旅屋セリオで

　高岡市生まれの世界的化学者・高峰譲吉博士（一八五四〜一九二二年）の所蔵品展示会が十日、同市の御旅屋セリオで始まった。二十日まで。入場無料。

　明治時代に高峰博士が日米親善の社交場にしたニューヨーク郊外の別荘「松楓殿（しょうふうでん）」の「松楓の間」を移設再現した展示が三月から高岡商工ビルで一般公開されている。移設に際し、松楓殿の所有者から寄贈された壁画や天井画、家具調度品のほか、顕彰会から同市博物館に寄託された資料など約百三十点を紹介している。

　松楓殿の内装を設計した牧野克次（一八六四〜一九四二年）が日本文化を表現した室内装飾の一端を見ることができる。一九〇九年に訪米中の久邇宮邦彦王（くにのみやくによしおう）夫妻が滞在された時に用意されたという椅子、高岡ゆかりの彫刻師・村上九郎作（くろさく）（一八六七〜一九一九年）の春日式椅子、金箔（きんぱく）の風神雷神図などが並ぶ。食材がデザインされたダイニングルーム天井画二枚、松と楓が描かれた中二階の壁画は今回、初めて展示した。

　オープニングでは、主催した高岡商工会議所の塩谷雄一会頭が「一人でも多くの市民に見ていただき、高岡が生んだ偉大な化学者を広めたい」とあいさつし高橋正樹市長らとテープカットした。

　高峰博士は消化酵素「タカヂアスターゼ」を発明し、ホルモンの一種「アドレナリン」の抽出に成功。県内アルミ産業の発展や日米親善に尽くした。

　展示会は高岡市福岡町、金沢市に続き三カ所目。高峰博士の生涯を描いた映画を会期中の毎日午後一時半から上映している。十二日に記念フォーラムがある。　（武田寛史）

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