異なるパワーの3グレード トヨタ「スープラ」に何を求めるか
2019年5月、トヨタから17年ぶりの復活をはたした新型「スープラ」は、ストレート6エンジン搭載のFRモデル、という伝統のパッケージングを受け継ぎ、誰の目をも奪う大胆で挑戦的なボディフォルムを持ち、大いに話題を呼んだ。
デビュー当初から年内の販売予定台数はすべて埋まってしまったと言われるほどの人気を呼び、2020年3月までに2610台が日本の市場で販売されたという。
スープラは、オーストリアにある「マグナ・シュタイア社」のグラーツ工場で生産され、日本に運ばれてくる「輸入車」のため、注文してから納車されるまで、およそ8カ月かかる。ほしいと思ってもすぐに手に入らないところも、プレミア感があっていい。
ラインナップは、直列6気筒の3リッターターボエンジンを積む「RZ」を頂点に、直列4気筒2リッターターボエンジン搭載の「SZ-R」「SZ」の3グレードで構成される。
ただし、外観から見分けられるポイントはホイールサイズの違い程度。どのグレードを選んでも、力強いフォルムを得られるのはうれしいに違いない。
2020年3月までの販売実績では、トップモデルのRZが67.6%。SZ-Rが26.7%。SZが6.7%と、上位モデルから売れているのがよくわかる。
価格的にはデビュー当初はRZが690万円(消費税込、以下同)で、SZ-R、SZはそこから100万円づつプライスダウンし、エントリーモデルのSZは490万円からとなっていたが、2019年秋に消費税率が変わり、2020年4月28日に一部改良をおこなったために、現在ではRZが731万3000円、SZ-Rは601万3000円、SZが499万5000円になっている。
それでも2020年の今を代表するFRスポーツとしては、良心的な設定といっても良いだろう。それは試乗してみるとよくわかる。
じつは、デビュー当初の試乗比較で一番のお勧めグレードは、もっともお手頃価格のSZだった。
今回もこのエントリーモデルのSZから試乗を行ったが、日常使いで他のグレードと異なるポイントといえば、電動シートが用意されていない点と、確かにちょっと厚みのあるタイヤがデザイン的に重く感じられる程度で、走行している限りは他のモデルとの差はまったくと言えるほど感じられない。
BMW Z4と共通のインパネやセンターコンソールまわりをはじめ、右ワイパー/左ウインカーのレバー配置などどのグレードも同じ。よほどスープラを知る人でなければ、インテリアからグレード差は感じないだろう。
走りの性能的には、「B48型」という同じ2リッター直4ターボエンジンを積むSZ-Rのパワーが258ps・400Nmのスペックなのに対し、SZは197ps・320Nmと2割ほど抑えられている。
確かにフル加速をしようとしたときや、高速での追い越し加速などではキックダウンを要求するなどの違いはあったものの、日常的な走りや一般的なスポーツ走行ではその違いはわかりづらい。単グレードで乗れば、やはりSZで十分だ。
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May 07, 2020 at 09:51AM
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