北海道西南部の後方羊蹄山。広大なエリアはバックカントリースキーヤーで賑わっています。いつでも最高の雪質が楽しめますが、特に3月は天候が安定しておすすめのシーズンです。

雪面がクラストし始めたのでシートラで登る(写真=谷水 亨)
日本百名山の後方羊蹄山(しりべしやま 1898m)は美しい円錐型の成層火山で、その様相が富士山に似ていることから「蝦夷富士」とも呼ばれています。西南北海道の山では最も高く、元々はアイヌ語でマチネシリ(女山)と呼ばれていました。後方羊蹄山の麓を流れる尻別川(アイヌ語=シリ・ぺッ)の周辺を和人が、後方・羊蹄(しりへ・し)と呼ぶようになり、ひときわ高い山を後方羊蹄山と呼ぶようになりました。それが呼び名まで変化して羊蹄山(ようていざん)となってしまったのです。こうしてアイヌ語地名が和人によって和名に変化させられたところが北海道には至る所にあります。

夕陽の光を浴びる羊蹄山(写真=谷水 亨)
羊蹄山の登山道は倶知安、京極、真狩、喜茂別からのコースがありますが、冬は沢筋を登るコースもあり、コースの選択が増えます。近年は外国人のバックカントリーヤーがニセコスキー場から流れてきていて、多くのスキーヤーで賑わいますが、広大なエリアのため、十分に新雪を楽しむことが出来ます。
ベストシーズンは?と聞かれると困ってしまう程、いつ登っても最高の雪質を楽しめますが、雪が多く天候が安定している3月が私のベストシーズンと言って良いでしょう。
多くのスキーヤー・登山者が訪れる真狩コース
ここでは最もポピュラーな真狩(まっかり)コースをご紹介します。真狩コースは夏道コースとほぼ同じルートを辿ります。登り口も夏道の登山口と同じ羊蹄山自然公園からです。それ故に多くの登山者とスキーヤーが登りますので、踏み跡やトレースがありルートファイティングがとても楽です。
標高1000m辺りからは森林限界となり視界を遮る樹木がなくなります。本来の夏道は大きなジグをきりながら避難小屋まで登りますが、冬はほぼ直登です。ここからが夏も冬も正念場といえるでしょう。しかし眺望は良くなり、下界の平野が見渡せます。疲れたら後ろを振り返り、見渡す限り広大な大地を眺めながら一息入れるのも良いでしょう。

標高1000mを越えると視界を遮る樹木がなくなる(写真=谷水 亨)
また、スキーコースとしては、場所によってはクラスト斜面、深雪斜面、ピステ状態の斜面など雪質に差ができて、スキーヤーは最高の雪質を求めて散らばっていきます。山頂を求める者だけが、この後、標高差約800mの急勾配をスキーアイゼンで、もしくはスキーを担いでアイゼンで登っていきます。

稜線までもう少し。雪面は氷化した塊でいっぱい(写真=谷水 亨)

下界は広大な穀倉地帯が広がる(写真=谷水 亨)
山頂に着くと標高差100m~200mのお鉢の底を目指して滑走する健脚のスキーヤーもいます。この日も数本のシュプールを確認出来ましたが、私は標高差約1500mを登ってきましたので、ここまでが限界、急に雲もかかってきて視界も無くなったのでスキーで滑走しながら早々に下山することにしました。

稜線に辿り着き最高点を眺める(写真=谷水 亨)

腰パフを楽しむ(写真=谷水 亨)
▼今回の山行動画
※積雪期の山は、雪の状態や天候によって、難易度、コースタイムが大きく変わります。計画時には必ず出発前後の天候やエスケープルート、山小屋などの避難できる場所を確認しておきましょう。また、バックカントリースキーは、特に雪崩等の危険を伴います。初心者のみの入山は避けましょう。
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March 11, 2020 at 10:05PM
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バックカントリースキーで後方羊蹄山・人気の真狩コースへ - 株式会社 山と溪谷社
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