クールビズの取り組みがスタートした2005年から、15年の歳月が経ちました。ここ数年では、スポーツ庁が提言した「FUN+WALK PROJECT」により、スニーカー通勤も注目されています。各企業でクールビズが実施される夏季だけに限らず、タイドアップしたスーツ姿のビジネスマンが減少している傾向を感じます。
ビジネスマンの読者もそれを敏感に感じ取っているのが、今回のアンケートから読み取れます。「10年前に比べてビジネススタイルがカジュアルになっていると感じますか?」という質問に対して、「とても感じる」57%と「少し感じる」29%を合計すると、86%の読者がビジネススタイルのカジュアル化を実感しているのです。
ところが、カジュアルデーの取り組みがある職場はそれほど多くありません。アンケートによると、取り組みのある職場は4割程度。夏季のクールビズの期間以外のシーズンについては、ビジネスマンが自主的な判断で、適度にカジュアルな着こなしを採り入れているという意識の高さがうかがえます。
ビジネスウエアのカジュアル度数は、その日の仕事の内容やアポイントメントの有り無しで考えるべきものです。着こなしの考え方を問われたときに私が提言するのは、「ビジネスウエアの5W1H」。5Wとは、「誰と、いつ、どこで、何の目的で、なぜ」お目にかかるのか。1Hとは、それによって「どのように」着こなすのかを判断するという考え方です。例えば、会う相手の業種や年齢によってもこちらの着こなしは変わってきます。昼間に相手のオフィスを訪ねるのか、アフター5のカフェでミーティングするのかによっても、許されるカジュアル度数は変わると考えてください。
基本は、相手の着こなしに寄り添うことです。私自身のドレスコードをお話しすると、タイドアップが圧倒的多数のお堅い会社に、ジャケットもはおらないカジュアルな着こなしでは伺いません。いっぽうで、カジュアル度数の高いクリエイターとの打ち合わせにタイドアップしたスーツ姿で臨むのは避けるようにしています。相手をおもんぱかる、これは着こなしに限らず、ビジネスの基本だと思うからです。
「あなたがスーツを着る頻度はどれくらいですか?」というアンケートの結果を見ると、それでも「週5日(毎日)」着ているビジネスマンが5割近くにのぼります。シビアなミーティングにほぼ毎日臨んでいるであろう、タフな状況がうかがえます。あるいは、何が起こるか予定が読めない日にはひとまずスーツで、という判断なのかもしれません。
そんなビジネスマン読者に、おすすめがあります。かっちりとして見えるのに着心地が快適な、ストレッチ素材のスーツです。昨今では、一見すると天然素材にも見まがうクラシックなイメージのスーツも出てきていますので、明らかにビジカジ用のセットアップスーツに抵抗がある方は、ぜひトライしてみてください。
プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE
WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。ファッションやライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツを制作している。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立し、現職に就任。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」
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March 31, 2020 at 08:52AM
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ビジネススタイルは、どのくらいカジュアル化しているのか。編集長の「見立て」。#29:アエラスタイルマガジン - 朝日新聞
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