遊戯王やデュエル・マスターズ、ポケモンカードなど、20~30代の男性たちが子供の頃に熱中したカードゲーム。原作漫画の中では、よく「幻のカード」なるものが登場したものだが、その世界が現実になりつつあるようだ。入手困難な古いカードや限定カードにプレミアがつき、なかには数千万円もするものもあるという。
そこで、今回は六本木のクラブを貸し切って開催されたカードゲームイベント「VABEL」に潜入。カードゲームYouTuberのしゃまさんに水先案内人をお願いしながら、イベントに展示された総額2億円にも上るという超高額カードと、数百万円が瞬く間に行き交う衝撃のカードオークションをレポートする。
本物は世界に1枚。1000万越えの超高額カードたち
2019年11月某日、六本木のクラブ「V2 TOKYO」でそのオークションは開催されていた。カードゲームというと"子供の趣味"というイメージがあるが、この日行われるのは、大人のためのちょっぴりラグジュアリーなイベントだという。
ドレスコードが指定される中、会場に居たのはカード談義に花を咲かせるジャケット姿の参加者たち。ドリンクやフィンガーフードをつまみながら、カードゲーム界の有名人によるトークショーや、ゲストとして招かれたYouTuberの対戦などを楽しんでいる。
「こんな世界もあるのか」と、正直圧倒されていると、カードゲームYouTuberのしゃまさんが出迎えてくれた。
▲すごいラグジュアリーな椅子に座ってる......。
「ようこそ! 今日は滅多に見られない超高額カードが揃っているので、ぜひご覧になってください」(しゃまさん)
まず案内されたのが、超高額カードの展示コーナー。今回のイベントの開催にあたり、カードショップや有志のコレクターの方々が、滅多に手に入らないプレミアムカードを展示品として提供してくれたという。
「あくまでも推定ですが、ここにあるカードだけでも、資産価値は総額2億円にも上るんですよ」(しゃまさん)
衝撃の発言に目を丸くする。に...におく?トレーディングカードですよね?
「近年では入手困難になったカードに、1枚数百万円の値が付くことも少なくありません。大会の優勝者に贈られた"世界に1枚だけのカード"などは、コレクターさんなら喉から手が出るほど欲しいもの。遊戯王カードで最高額を誇るステンレス製の『カオス・ソルジャー』の価値は、10億円とも言われているんですよ」(しゃまさん)
異次元すぎる......。確かに漫画『遊戯王』のキャラクターである海馬の切り札、「青眼の白龍」は世界に4枚(そのうち1枚は海馬さんが豪快に破り捨てる)という設定だったが、漫画の中だけの話だと思っていた。
「たとえば、こちらのカード、ご存知ですか?」(しゃまさん)
おお! 噂をすれば、青眼の白龍を"融合"させることで召喚できる最強モンスター「青眼の究極龍」。20~30代の男性なら、子供の頃に憧れたカードのひとつでは。
「こちらのカードはワケありの"流出品"なんですが、本物は過去に5000万円くらいで取引されています。その後、1億円近くで売却されたという噂も耳にしますね」(しゃまさん)
えっ。
しゃまさん曰く、このタイプの「青眼の究極龍」は、遊戯王のアジア大会「アジアチャンピオンシップ2001」の優勝賞品で、世界に1枚しかない伝説のカードとのこと。ただし、今回の出展品はなんらかの原因で工場などから市場に出回ってしまった流出品らしく、本物ではないそうだ。
さらに今回のイベントの目玉である「クリボー」。こちらも「アジアチャンピオンシップ2001」の3位入賞賞品で、世界に1枚しかない本物だという。
「ずっと誰が所有しているのかわからず、コレクターの方々が血眼になって探していた幻のカードです。今回のイベントに際して、とあるカードショップさんが名乗り出たことで、18年越しに発見されました」(しゃまさん)
高額カードの取引は基本的に言い値の世界で、売り手の提示額に買い手が価値を感じれば、取引が成立する。そのため、「このカードには数百万円、数千万円の値打ちがついても不思議ではないですね」としゃまさん。
行き交う数字の大きさに、なんだか現実感がなくなってきた......。
ほかにも100万越えのカードがズラリ。懐かしのあのカードも!
ほかにも展示コーナーには、規格外の高額カードたちがズラリと並んでいた。
これらは一見するとわからないが、印刷ミスのあるカード。いわゆる"エラーカード"と呼ばれるもので、好んで集めるコレクターが多いことから、「カオスソルジャー」の相場は100万円超え。「ゼラ」もそれに迫る可能性が十分にあるとか。
こちらは遊戯王の世界大会「ワールドチャンピオンシップ2012」の優勝者に配られた、「レジェンダリー・ドラゴン・オブ・ホワイト」と「レジェンダリー・マジシャン・オブ・ダーク」。世界に2枚ずつしかないカード(大人と子供の部門でそれぞれ配布)で、残念ながら流出品とのことだが、それでも推定200万円ほどの価値があり、本物なら1000万円越えは確実視されている。
1998年の『Vジャンプ8月号』で、抽選50名にプレゼントされた「13人目の埋葬者」、「女剣士カナン」、「地獄の裁判」のセット。相場は200万円以上だそうで、中でも当時の花形カードだった「女剣士カナン」は、単体でも100万円以上の値打ちがある。
この手のカードはシート状に印刷されたものをカットし、それを紙へと貼り付けることで作られているという。こちらはシートに印刷した状態の人気カードを、額縁に入れて配布したもの。韓国で公式から抽選30名に配られ、現地では30万円ほどで取引されたこともあるとか。
1999年の全国大会で配布された限定カードも発見。2次予選通過者に配られた「エビルナイト・ドラゴン」は世界に125枚、1次予選通過者に配られた「千年原人」は1000枚。いずれも数十万円~100万円越えの激レアカードだ。
ほかにも、会場にはコナミではなくバンダイから販売されていた頃のデザインの「死者蘇生」、エラーカードの「ブラックマジシャン・ガール」、「聖なるバリア〜ミラーフォース〜」など、さまざまな付加価値のついた懐かしのカードたちが出品されていた。かつてのプレイヤーにとっては、もう見ているだけで楽しすぎる!
数百万円の取引が一瞬で。熱狂のカードオークション
この日はイベントの締めくくりに、超高額カードのオークションが開催された。数多くのコレクターが参加されるということで、その様子を"観戦"してみることに。
トップバッターとして出品されたのは「メテオ・ブラック・ドラゴン」。こちらは1999年の全国大会の各部門で2位までの人に配布された、世界に4枚しか存在しないカードだとか。
瞬く間に「200万円」「300万円」と声が上がる。ちょっと待った、そんなに即決できる金額なの!? 唖然としていると、ついには550万円で落札。
次々と紹介されるカードたちが、100万円、200万円といった法外な値段で買われていく。信じられない光景だが、徐々に湧き上がる高揚感。スポーツ観戦のようなスリルが生まれ、気づけば見入ってしまうから不思議だ。
しゃまさんもポケモンカードの希少カード「ガルーラ」を160万円で落札。1998年の親子大会の賞品だったカードで、配布された枚数はわずか38枚。テレビ東京の番組「開運!なんでも鑑定団」で取り上げた際には、120万円と鑑定された。
「ポケモンカードはアメリカや中国でも人気で、高額カードはほとんど海外に流れています。日本でしか配布されていない限定カードも、国内で入手するのは困難です。『ガルーラ』はポケカでも入手難易度がトップクラスなので、これから日本でお目にかかるのは難しいのではないでしょうか」(しゃまさん)
異様な熱気に包まれる中、オークションの終了とともにイベントは幕を閉じた。対戦だけでなく、ブルジョワな楽しみ方も広まっていたカードゲームの世界。子供の頃のイメージはすっかり覆されてしまったが、懐かしくも刺激的な時間を堪能させていただきました。
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March 31, 2020 at 07:06PM
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1枚5000万円!? カードゲームの”ブルジョワ化”がすごいことになっていた|テレ東プラス - テレビ東京
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