資格はあるが働いてない
介護業界に未就労者が多い理由
Photo:PIXTA |
今、介護業界の人材不足が大きな問題になっている。
厚生労働省の調査によれば、日本国内における65歳以上の高齢者は5年後には3677万人(現在3619万人)、75歳以上の後期高齢者は2180万人(現在1872万人)にまで増加すると予想されている。
そのため、2025年度末までに新たに約55万人の介護人材を確保することが急務になっている。確保できない場合は、介護崩壊も免れない状態だ。
世界に類を見ない超高齢社会の日本にとって介護の担い手不足は、いまや最大の問題と言ってもいい。
人材不足とはいえ、介護の資格を持つ人は多い。国家資格である介護福祉士の登録者は全国で169万4630人(2020年3月末、公益財団法人社会福祉振興・試験センター)。これに介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)や介護職員実務者研修の資格保有者を足せば相当な数になる。
にもかかわらず、なぜ人材不足になっているのか?
そこには2つの理由がある。介護職は体力的にきつい仕事だが、それに見合った報酬が支払われていないのが、第一の理由だ。介護職には女性が多く、家庭の事情でフルタイムで働けない人も多い。訪問介護ならば短時間勤務もできるが、1人で作業をする場合が多く重責を背負わされる。勤務スタイルの柔軟性が低いこと、これが第二の理由である。これらの理由で、未就労者が多いのだ。
介護業界初!スマホで完結する
ワークシェアサービスが話題
資格はあるが現在は働いてない。こういった人を対象にした介護人材のシェアリングサービスが登場した。今年1月に始まった「カイスケ」である。
これは介護業界初のワークシェアサービスである。仕事探しから給与の受け取りまで、スマホ画面で完結するのが特長だ。登録できるのは、介護職員初任者研修をはじめ何らかの介護資格を持っている人に限られるが、1日だけ、数時間だけという単発の求人が多い。気軽に働けることもあり登録者が増えている。
希望者はまず、名前・性別・年齢などの基本情報、介護資格の証明書と身分証をスマホで送信。カイスケのスタッフが内容を確認すれば、登録が完了する。その後、求人情報を検索して、気になる案件があればエントリーするだけ。面接は不要。すぐに働くことが可能だ。
勤務管理もスマホで行い、仕事終了後には、すぐに報酬が振り込まれる仕組みになっている。さらに、評価機能もあり事業所と介護ワーカーが相互に評価ポイントをつけられるようになっている。
評価機能、報酬の即時支払い
柔軟な求人要件で、登録者増
日本初の介護のシェアリングサービス「カイスケ」。登録から給与の支払いまでスマホで完結し、面接は不要。短時間や単発の求人も多い。写真は介護福祉士の遠田悟さん 写真提供:カイスケ |
介護福祉士の遠田悟さん(29歳)はカイスケを利用している1人だ。
「介護業界を良くしたい、適正な報酬を支払いたい、という理念に共感して、カイスケに登録しました。うれしいのは評価機能があることです。この仕事は誉めてもらえる機会があまりありませんので、大きな励みになっています」
「カイスケに登録したのは、いろいろな施設を経験してみたいと考えたからです。初めての施設に行った時、1人になる時間が長くて不安を感じました。そのことをカイスケに連絡したら、事業所さんがすぐに改善してくれました。働き手の意見をすくいあげてくれるのがありがたいです」と話してくれたのは、キャリア14年の介護福祉士・立野夏絵さん(42歳)。
キャリア8年目の介護福祉士・西原裕貴さん(29歳)は「有料老人ホーム、デイサービス、特養などいろいろな施設で働いて知識と技術をつけられるのが、カイスケの特長だと思います。すぐに報酬を手にすることができるのもうれしいです。介護職はフルタイムだけでなく、さまざまな働き方ができることを知ってほしいですね」と話す。
埼玉県草加市の介護付き有料老人ホーム「草加幸楽園」は、カイスケを通して介護ワーカーを募集している施設だ。職員の鈴木康祐さんはこう話す。
「昨年カイスケを知り、その理念に共感しました。ぜひ使ってみたいと思い登録をしました。これまで他の求人サイトを利用して介護ワーカーを募集していましたが、未経験者OKでも応募が少ない状況でした。でも、カイスケは有資格者限定ですので、即戦力になる人が多い。おかげで非常に助かっています。埼玉だけでなく、近隣の東京や千葉、神奈川からも応募があり驚いています」
異分野出身、31歳の若き起業家が
カイスケを立ち上げた理由
このサービスを立ち上げたのは、31歳の若き起業家・武藤高史さんである。株式会社カイテク代表取締役として日々奮闘している。
実は武藤さんは大学でロボット工学を学んだ後、大手企業でプロジェクトマネジメントを担当していた異分野の人である。
「以前は介護にまったく興味がありませんでした。ところが、祖父母が介護施設に入所することになったのです。起業家として働く祖父を誇らしく感じていたのですが、認知症を患い変わってしまいました。介護施設へ行くと、職員の方が懸命に働いています。その姿に心を打たれたのです。祖父の葬式には職員の方が参列してくれ、まるで自分の身内のように涙をこぼして悲しんでくれました。今でも忘れられない光景です」(武藤さん、以下同)
この体験により武藤さんは介護業界に関心を寄せるようになる。自身も介護職として働きながら数百の施設を見て回った。
「想像以上に難しい仕事だと実感しました。同時に介護業界の課題も見えてきたのです。例えばIT化の遅れ、慢性的な人材不足、問題は山積していました。このままでは日本は沈む。誰かがやらないと日本が崩壊してしまう、と思ったのです」
その手始めとして、介護の人材不足を解決していく事業を始めたのである。
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「副業で介護職を行いたい、1つの施設だけでなく複数の施設で働きたい。そんな方がとても多かったのです。それで単発や短時間の求人で人材不足を解消できないかと考えました。まだ始まったばかりですが、着実に登録者数は伸びています」
武藤さんは介護の現場を回った際、「働いている人が笑顔だと、利用者さんも笑顔」だと気づいた。笑顔を増やすには労働環境を向上させる、収入を増やす、勤怠管理など人が行う必要のない作業は機械がやれるように変えていく。その分、AIにはできない「人間がケアする価値」を高めていきたいと話す。
カイスケはこの1月、経済産業省が主催する「ジャパンヘルスケアコンテスト」アイデア部門でグランプリを受賞した。審査員からは「介護の質の向上につながる」と高い評価を得ている。
「日本は人類未到の超高齢社会を迎えています。世界に先駆けて介護の問題を解決することができれば、そのモデルは海外へも広めることができるに違いありません。そのためにも、地域で助け合う仕組み、人材をシェアする仕組みをさらに広めたいと考えています」
(吉田由紀子/5時から作家塾®)
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
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May 28, 2020 at 04:00AM
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